任意整理を検討している中で「対象外のカード」という言葉が気になっている方も多いのではないでしょうか。
任意整理は、債務の負担を軽減するための手続きであり、すべての借金を一括して整理する必要はなく、自分で整理対象を選ぶことが可能です。
つまり、状況によっては一部のクレジットカードを対象外のカードとして残すことができます。
しかし、任意整理で対象外のカードを選ぶ際には、さまざまなリスクや注意点があるのも事実です。
本記事では、任意整理で対象外のカードが本当に使えるのか、どのような条件で対象外にできるのか、またその後の影響について詳しく解説します。
記事のポイント
🔴任意整理で対象外のカードにできる条件
🔴対象外にしたカードが使える期間と制限
🔴クレジットカード会社による利用停止のリスク
🔴対象外のカードを使うことによる弁護士との関係への影響
任意整理で対象外のカードとは?注意点を徹底解説
任意整理でカードはどうなる?
任意整理を行うと、手続きの対象としたクレジットカードは原則として解約扱いとなります。
弁護士がカード会社へ送付する受任通知の到着をもって、そのカードの利用は即時停止されることが多く、以後は一切の使用ができなくなります。
これは任意整理という手続き自体が、「返済が困難になった債務者が支払い負担を軽減するためのもの」と見なされるからです。
そのため、信用情報機関には事故情報として登録され、いわゆるブラックリスト入りの状態となります。
これにより、新規でクレジットカードを作ることはもちろん、すでに持っているカードも対象・対象外を問わず利用できなくなる可能性が高いです。
対象外にできるカードの条件
任意整理は、自己破産や個人再生とは異なり、どの債務を整理するかを選択することができます。
そのため、利用者は自身の判断で特定のクレジットカードを対象外とすることが可能です。
ただし、対象外とするには、支払いが滞っていないこと、残高が少額であること、そして近いうちに完済できる見込みがあることが条件とされることが多いです。
さらに、利用履歴が健全であることも重要な判断基準となります。
たとえば、継続して滞りなく返済しているカードであれば、任意整理の対象から外す判断が現実的と言えるでしょう。
対象外にしたカードは使える?
任意整理の際に対象外としたクレジットカードは、一定期間であればそのまま利用を続けることができます。
ただし、これはあくまで一時的なものであり、任意整理によって信用情報に事故情報が記載されている限り、カード会社が途中で利用停止の措置を取る可能性は十分にあります。
特に、カード会社が定期的に実施する途上与信や、更新時の審査のタイミングで、任意整理の事実が確認されれば、継続利用は難しくなります。
したがって、対象外にしたカードも永続的に使えるとは限らないという点を理解しておく必要があります。
利用できる期間とその後の影響
任意整理後に対象外としたカードを使える期間には明確な定めはありませんが、一般的には3〜6か月ほどで利用停止となるケースが多く見られます。
これは、カード会社が定期的に利用者の信用情報をチェックしているためです。
その際に任意整理の履歴が確認されると、「今後の支払い能力に不安がある」と判断され、カードの利用を止められる可能性が高くなります。
さらに、カードの有効期限が来て更新審査が行われた場合にも、ブラック情報が残っていると更新が拒否されることがあります。
そのため、対象外としたカードの利用はあくまでも一時的措置と理解し、今後の生活設計を立てる必要があります。
対象外カードを使うリスクとは
任意整理の手続き中や直後に対象外としたクレジットカードを使用することには、いくつかのリスクが伴います。
まず、債権者であるカード会社が「任意整理を行っているにもかかわらず新たに借金を増やしている」と判断し、任意整理そのものへの不信感を抱かれる可能性があります。
また、任意整理を依頼している弁護士からも、利用を続けることで交渉に支障が出る恐れがあるため、カードの使用を止めるよう指示されることがあります。
さらに、今後の生活再建を図るうえで、計画的な支出が重要となるため、任意整理の対象外としたカードの利用には慎重であるべきです。
家族カードやETCカードの扱い
が任意整理を行った場合、そのクレジットカードに付帯する家族カードやETCカードも利用停止の対象となります。
これは、家族カードやETCカードが本会員の信用情報に基づいて発行されているためであり、本会員が信用を失った場合には、これらのカードも同時に機能を失います。
ただし、逆に言えば、家族カードの持ち主が任意整理を行った場合、本会員のカード自体に影響は出ません。
つまり、どちらが本会員かによって、カードの継続利用可否は大きく左右されるという点に注意が必要です。
任意整理を検討する際は、家族カードやETCカードの名義確認を忘れずに行いましょう。
任意整理で対象外のカードは本当に使えるのか
審査や途上与信のタイミング
クレジットカード会社は、契約後も定期的に「途上与信」と呼ばれる審査を行います。
これは利用者の信用状況が変化していないかを確認するためのもので、たとえカードを問題なく使用していても、信用情報に任意整理の記録が登録されていると、その段階で利用停止となる可能性があります。
途上与信のタイミングはカード会社ごとに異なりますが、おおむね数か月ごとに実施されるのが一般的です。
そのため、任意整理の直後に対象外のカードが一時的に使えていたとしても、いずれは信用情報に基づいて利用停止になるリスクが高いといえます。
更新拒否でカード停止の可能性
クレジットカードには有効期限があり、一定期間ごとに更新審査が実施されます。
この審査では、利用履歴だけでなく信用情報もチェックされるため、任意整理の履歴が残っているとカード更新が拒否されることがあります。
すると、たとえそれまで問題なく利用していても、カードの有効期限到来と同時に利用停止となるのです。
特に、任意整理後5年以内であれば、信用情報に事故情報が残っている状態のため、更新拒否のリスクは極めて高いと考えられます。
更新に通らなかった場合、代替の決済手段を事前に用意しておくことが重要です。
対象外でもブラック情報は残る
任意整理は、特定の債務を整理する手続きであり、すべての債務が対象になるわけではありません。
しかし、対象にしなかったカードがあっても、任意整理を行ったという事実自体は信用情報機関に登録されます。
これがいわゆるブラックリスト入りの状態であり、新規カードの申請はもちろん、既存カードの利用にも大きな影響を与えます。
つまり、対象外としたカードであっても、信用情報に事故情報がある限り、カード会社の判断で利用停止となることがあるのです。
ブラック情報は通常、任意整理から約5年で消去されるとされていますが、それまではカードの継続利用は保証されません。
カード利用が弁護士に与える影響
任意整理を弁護士に依頼している最中にクレジットカードを使用し続けると、弁護士との信頼関係に影響を与える可能性があります。
任意整理は「債務整理の一環」として、誠実に返済をしていく姿勢が求められる手続きです。
にもかかわらず、カードを使い続けて借入を重ねていると、弁護士から「交渉の意義が損なわれる」と判断され、最悪の場合には受任を辞退されるリスクもあります。
弁護士のサポートがなければ、交渉は個人で行わなければならず、非常に不利な立場に置かれることになるため、カードの使用には細心の注意が必要です。
任意整理後に検討したい代替案
任意整理を行ったあとは、新規のクレジットカードが作れず、既存のカードも利用できなくなる可能性が高いため、日常の決済手段をどう確保するかが重要になります。
代替案として有効なのが、デビットカード、プリペイドカード、デポジット型クレジットカード、家族カードなどです。
デビットカードは審査不要で即時に引き落としが行われるため、支出管理にも適しています。
プリペイドカードはチャージした分だけ使えるため、使いすぎ防止に役立ちます。
さらに、一定額の保証金を預けることで発行できるデポジット型カードは、信用情報に不安がある方でも審査に通りやすい点が特徴です。
生活スタイルに合った代替手段を選び、無理のない支出管理を心がけましょう。
信用回復後のクレジットカード取得
任意整理によって登録されたブラック情報は、信用情報機関によって異なるものの、おおよそ5年間は記録として残ります。
この期間が経過すると情報が削除され、再びクレジットカードの審査に通る可能性が出てきます。
ただし、ブラック情報が消えたからといって、すぐに審査に通るとは限りません。
過去の履歴や収入状況、現在の債務状況なども総合的に判断されるため、審査のハードルは決して低くはありません。
そのため、信用回復を目指すなら、まずは公共料金などの支払いを遅延なく続けること、借入を増やさないことが大切です。
地道な実績の積み重ねが、将来の信用回復につながります。
総括:任意整理で対象外のカードを扱う際の注意点と基本知識
✅任意整理をすると多くのクレジットカードは利用停止となる
✅対象外にできるカードは利用実績が良好で延滞がないもの
✅残高が少額で完済の見込みがあるカードは対象外にしやすい
✅対象外としたカードでも途上与信で利用停止の可能性がある
✅任意整理の情報が信用情報に登録されることで審査に影響が出る
✅クレジットカードの更新時にも任意整理の履歴が確認される
✅対象外カードの使用継続は一時的なものである
✅家族カードやETCカードは本会員が任意整理すると使えなくなる
✅本会員でなければ任意整理の影響を受けない場合もある
✅弁護士に依頼中のカード利用は信頼関係に悪影響を与える
✅任意整理で対象外のカードもブラック情報の影響を受ける
✅任意整理後は代替手段としてデビットやプリペイドカードが有効
✅デポジット型カードは信用に不安があっても利用しやすい
✅信用回復後は公共料金などの支払いを通じて実績を積むことが大事
✅ブラック情報は通常5年で消えるが審査は厳しいままである
任意整理で対象外のカードを選ぶことは、生活再建の中で重要な判断となります。
ただし、対象外にしたクレジットカードであっても、利用が永久に保証されるわけではなく、信用情報に登録された事故情報の影響を受ける可能性がある点には十分な注意が必要です。
また、弁護士やカード会社との関係にも影響を及ぼすため、カードの利用については慎重に検討しましょう。
任意整理後はデビットカードやプリペイドカードなど、無理のない決済手段を取り入れた生活設計が大切です。
本記事が、任意整理とクレジットカードの関係についての理解を深める一助となれば幸いです。