未公開株商法の違法性と投資事業有限責任組合形式での勧誘

未公開株商法とは

未公開株

「未公開株商法」とは、「未公開株」すなわち取引所に上場される前の株式について、「上場間近です」、「確実に値上がりします」などと、当該株式があたかもすぐに上場して確実に利益が得られるかのように偽って、「未公開株」を購入させる商法です。

「未公開株商法」には、大きく分けて①当該未公開株の発行会社から「縁故株」を譲り受けたなどと称する業者が不特定多数の第三者に当該未公開株を転売している場合と、②当該未公開株の発行会社自身が自社の未公開株を販売する場合があります。

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未公開株商法の違法性

違法かつ無効な取引

このような「未公開株商法」については、①金融商品取引法(旧証券取引法)違反(無登録営業)②詐欺罪③暴利行為という3点から、公序良俗に違反する、違法かつ無効な取引であると考えられます。

金融商品取引法(旧証券取引法)違反(無登録営業)について

株式の売買、売買の媒介や取次、募集や売出の取扱いについては、これらを営業として行う場合は「金融商品取引業(旧「証券業」)」にあたり(金融商品取引法(旧証券取引法)2条8項1号、2号、6号)、内閣総理大臣の登録を受けなければ、営んではなりません(同法28条)。この規定に違反した場合には、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金刑、又はこれらが併科されるという刑罰も科されます(同法198条11号)。このことは、未公開株の場合でも同じです。

発行会社自身が自社の未公開株を販売している場合を除き、「未公開株商法」を行っている業者は、この「金融商品取引業」登録をしていないものがほとんどで、「金融商品取引業」を登録制として一般投資家を保護しようとした同法の趣旨からすれば、このような無登録業者による未公開株の販売は公序良俗に違反するものであり、違法かつ無効な取引です。

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詐欺罪について

「未公開株商法」では、業者が顧客に対して「上場間近で大儲けができる」「秋までには上場する」などと、当該株式があたかもすぐに上場するかのような文言を用い、購入を勧誘する例がほとんどですが、実際に当該株式の発行会社に問い合わせてみても、そのような予定など全くなかったり、「もう少し待ってほしい」などと言われたりして、一向に上場されないのが実情です。中には、発行会社に事業の実態がほとんどなかったという例もあります。

詐欺罪

このような場合、業者が当該未公開株式についてすぐに上場する見込みがないことを知っていたのであれば、詐欺罪(刑法第246条)が成立することになります。そして、一般に、上場申請の準備に取りかかってから実際に上場するまでには、どの市場でも3年程度の期間を要するものだとされています。したがって、特に当該未公開株式の発行会社が設立間もない場合や、赤字続きである場合などには、すぐに上場する見込みがないことについて容易に知り得るはずですから、詐欺罪が成立する可能性が高いと思われます。

また、顧客が購入させられた「未公開株」が、発行会社が正規に発行した株式ではない場合、すなわち購入させられた株券が偽造されたものだった場合や、「名義書換ができる」と言われて購入したのに当該株式が譲渡制限付のものであり発行会社から名義書換を拒絶された場合などにも、詐欺罪(刑法第246条)が成立することになります。

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暴利行為

日本証券業協会は、その自主規制規則である「店頭有価証券に関する規則」、「グリーンシート銘柄に関する規則」により、「未公開株」については、いわゆる「グリーンシート銘柄」を除き、その取引を勧誘することを原則として禁じています。すなわち、「金融商品取引業」登録をしている通常の証券会社であっても、「グリーンシート銘柄」以外の「未公開株」については取引が禁じられているのです。

暴利行為

これは、「未公開株」については十分信頼できる情報が少なく、一般投資家が当該発行会社の情報に接することも困難であることから、その客観的な価値の算出自体が極めて困難であるため、無制限に取引を認めてしまうと一般投資家が不測の損害を被りかねないからだと解されます。

しかし、「未公開株商法」に用いられる「未公開株」は、そのほとんどがいわゆるグリーンシート銘柄ではない、取引の勧誘自体が禁止されているものです。すなわち、業者は一般投資家がその適正価格を正確に把握できないことに乗じて、不当な高値で「未公開株」を売りつけていると思われる事例が後を絶ちません。この点からすると、「未公開株商法」は暴利行為であり、公序良俗に違反し無効な取引と考えられます。

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投資事業有限責任組合形式での勧誘について

近時、業者自身が直接「未公開株」を販売するのではなく、組合員が49名以下の「投資事業有限責任組合」の業務執行組合員になる等して、「未公開株」への出資を募るという形式を採って、「金融商品取引業」の規制を免れようとしている業者が多数見受けられます。

しかしながら、このような形式を採っていても、実質は「未公開株」の販売とほとんど異なるところはありませんし、「私募の取扱い」という形式であっても営業として行った場合には「金融商品取引業」にあたり(金融商品取引法(旧証券取引法)2条8項6号)、登録が必要なことに変わりはないと思われます。

どのような形式であっても、客観的価値が定かでない「未公開株」に多額の金銭を投資するのは極めて危険な行為ですので、誤って投資することのないように十分注意して下さい。

被害に遭ったのではないかとお悩みの方は

未公開株商法によって損失を被ってしまった、等とお悩みの方は、遠慮なく当研究会までご相談下さい。ご相談には「被害の相談」ページをご覧ください。

このページの内容について(平成23年法改正以降の補足情報)
改正による変更点

上記の記載は、平成23年改正前に作成されたものですが、その後の改正により、以下の点等が変更になりました。

  • 無登録営業の罰則が強化され、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金又はこれらが併科されることになりました(金融商品取引法197条の2第10号の4)。
  • 無登録業者が未公開株の売付け等を行った場合、その売買契約は無効にするという規定が創設されました(金融商品取引法171条の2第1項)。そのため、当該場合の無効主張が容易になりました。
発行会社自身が自社株を販売することについて

発行会社自身が自社株を販売することは、直ちには金融商品取引法上の無登録営業には該当しませんが、勧誘文言、事業実態、販売価格等からして不法行為法上の違法性があると判断した民事裁判例が多数あります。

例えば、

  • 東京地判平成22年6月28日(判例時報2088号97頁、証券取引被害判例セレクト38巻253頁)
  • 東京地判平成23年3月3日(証券取引被害判例セレクト 39巻141頁)
  • 東京地判平成26年10月16日(2014WLJPCA10168011)
  • 東京地判平成28年3月15日(2016WLJPCA03158013)
  • 東京地判令和元年8月30日(2019WLJPCA08308015)

などがあります。

なお、金融庁のホームページでは、 「未公開株の販売は、金融商品取引業者(証券会社)のほか当該未公開株の発行会社でも可能ですが、一般的に、未公開株の発行体自らが、不特定の第三者に対して電話勧誘等を通じて自社株を販売することは考えられません」と記載されています。

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